DOMAINE JEAN-LOUIS CHAVE ドメーヌ ジャン ルイ シャーヴ

地所:コート デュ ローヌ地方 エルミタージュ地区

1481年に立ち上げられ、6世紀にわたってエルミタージュのワインを造り続けているこのドメーヌはモーヴの町に居を構えています。16代目現当主であるジャン ルイ シャヴ氏は温厚で真面目な性格で、畑での仕事を第一に考えています。所々に設置してある電灯の下に行かないとテイスティングコメントも書けないほどの漆黒と静寂に包まれた地下蔵から屈指のワインが生まれます。

当主:ジャン ルイ シャーヴ氏とエラン夫人

エルミタージュに使われる葡萄の畑は合計28haで赤白共にいくつかの区画に分かれています。それぞれ土壌に違いがあり、ワインに与える要素も様々なので別々に醸造されます。畑はローヌ特有の急勾配な斜面にあり、様々な土壌の畑にマルサンヌ種、ルーサンヌ種、シラー種、グルナッシュ種が植えられています。収穫する時期は周辺の生産者と比べて遅く、葡萄が充分に熟すまで待ち、収量もかなり抑えて凝縮した葡萄のみ収穫します。白は8割は樽で残りはステンレスタンク、赤は樽のみで醸造され、18~24ヵ月間熟成されます。「エルミタージュはアサンブラージュのワインである」というジャン ルイ氏の信念に基づき、区画ごとに醸造されたワインは試飲が繰り返し行われ、最後に神業の如きアサンブラージュによって仕上げられます。

当主からのヴィンテージコメント
2015
区画では完成しないアサンブラージュのワインで醸造も大切な要素なので、収穫時にはまだ「グラン ヴァン」になるかどうかはわからなかった。幸い醸造も穏やかに進んで、現状ではリッチでスパイシーな果実味が豊か、肉厚でオイリーなエルミタージュらしいキャラクターになっており、熟成は当然必要だがグレートなヴィンテージと言って良いだろう。
2014 
春先の天気は良かったが、夏に雨が多く冷涼だったので葡萄の糖度もそれほど上がらず例年より もアルコール感が低く飲みやすい味わいになっている。
2013
春がとても寒かった影響か ら花ぶるいが起こり、特にグルナッシュで大きな被害が出た。夏は幸い天候が回復したが春の寒さで 開花が遅れてしまったために収穫は10月中旬と近年稀に見る遅さとなった。収穫量は少なくなって しまったが葡萄はとても凝縮したので、旨味が詰まったオイリーなヴィンテージになっている。
2012
春に雨が多く湿度が高かったが夏の天候は素晴らしく乾燥して凝縮した葡萄が収穫でき た。フレッシュかつフルーティでしなやかさのあるヴィンテージ
2009
収穫量が多くなったので仕事量も増えるかと思いきや、天候が素晴らしく葡萄の状態が完璧だったので収穫量の少なかった2008年より手が掛からなかった。ただ、2009年は世間の評価が良過ぎて美味しいと解って 飲むので、サプライズは無いかも知れない。むしろ2008年は評価があまり良くないが、飲んでみれば美味しいので驚きと共に楽しめるだろう。
2008
複雑味が出る年で、天候もあまり良くなくて畑仕事が大変 だったが、丹精込めて造ったワインなら素晴らしくなる。

L’HERMITAGE ROUGE
エルミタージュ ルージュ

品種:シラー100%

樹齢は古いもので80年にもなります。砂質と粘土質土壌で輪郭を与える「Péléat(ペレア)」、プダングという礫岩土壌で酸と繊細さを与える「Beaume(ボーム)」、小砂利、赤土、白土土壌でタンニンとスパイシーさを与える「Hermite(エルミット)」、小石土壌で凝縮感を与える「Méal(メアル)」、木目の細かい花崗岩土壌でパワーを与える「Bessards(ベサール)」、ミネラルを与える別区画の「Bessards(ベサール)」など、6~7区画の葡萄をアサンブラージュし、それぞれのテロワールの特徴を損なわずに仕上げています。とても綺麗な酸があり、果実味とタンニンのバランスも取れていてスパイシーながら複雑味も感じられます。10年以上熟成させると真価を発揮します。

SAINT-JOSEPH CLOS FLORENTIN
サン ジョセフ クロ フロランタン 

品種:シラー100%

サン ジョゼフの丘から長い年月を経てローヌ川沿いに流れてきた土壌(花崗岩)が堆積してできた「Clos des Murs(クロ デ ミュール)」という三日月型の区画の葡萄を使用。16世紀から化学肥料を使用していない畑で一番古い木は樹齢100年を超える。これまではドメーヌ物のサン ジョゼフに混ぜられてきたが、2015年ヴィンテージは単独キュヴェとして瓶詰。当ドメーヌでは、このワインはサン ジョゼフの中で「グラン クリュ」に位置づけられており、通常のサン ジョゼフよりもオイリーで凝縮感のある味わい。エルミタージュの陰に隠れてややマイナーな印象のあるサン ジョゼフというアペラシオンの価値をもっと引き上げたいという狙いがある。

サン ジョゼフの丘の麓にあるクロ フロランタンの区画(2015年9月)

SAINT-JOSEPH
サン ジョセフ

品種:シラー100%

樹齢は5~100年以上。花崗岩土壌でストラクチャーを表現する「Baschasson(バシャソン)」、柔らかくきめ細かい粘土質で凝縮感を出す「Dardouille(ダルデュイユ)」、そして将来単独で瓶詰するであろう、沖積土でミネラルと深みを表す「Clos Florentin(クロ フロランタン)」などの区画をアサンブラージュして造られます。シラー特有のがっちりとしたタンニンがあり、果実味もたっぷりしていて飲み応えがあります。

L’HERMITAGE BLANC
エルミタージュ ブラン

品種:マルサンヌ80%、ルーサンヌ20%

古いものでは樹齢100年を超え、砂質と粘土質土壌で繊細さを与える「Péléat(ペレア)」、石灰質の多い土壌で酸味やアルコールを与える、このワインの基本である「Rocoule(ロクール)」、小砂利や赤土、白土土壌で肉厚さとオイリーさを与える「Hermite(エルミット)」、ルースという埃のように細かい土と鉄分の多い粘土土壌でハツラツとした酸を与える「Maison Blanche(メゾン ブランシュ)」、小石だらけの土壌でパワーとミネラルを与える「Méal(メアル)」の5区画の葡萄をアサンブラージュします。アカシアの花のような華やかな香り、酸味がしっかりしていますが口当たりはとても柔らかく、オイリーで味わいがとても奥深いワインです。